素直になれない7センチ




「あはは、すごい勢いで食べたね。はい、お茶」

と、今度は温かいお茶をポケットから取り出す夏目くんに目を見張る。


まさに至れり尽くせり。

こんなに気の効く素敵な男の人になっていたなんて……モテるはずだ。



「ど、どうも……」

可愛くない返事をして、温かいお茶をごくりと飲んで口の中をさっぱりとさせる。

すると、ひょいっとお茶を奪われた。



「俺もちょうだい」

「なっ」


私が口をつけたお茶を平然と飲む夏目くん。


「ん? 香穂さん、どうしたの? もっと飲みたかった?」

恥ずかしくて、視線を逸らす私とは違って夏目くんは普通だ。



「大丈夫です……っ」

もしかしたらこういうことは馴れているのかもしれない。


いやでも、付き合ってもないのにこういうのってちょっと恥ずかしくないかな。私が考え過ぎ?






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