素直になれない7センチ
「……水井さん、こんな時間にどうしたの?」
「飲み会抜けて来たんです。明日も仕事ですし。あの……その」
ちらりと夏目くんを不安げに見つめながら水井さんが口ごもる。
「二人って……そういう関係なんですか?」
「え?」
そういう関係って……まさか私と夏目くんが付き合ってるかってこと?
せっかくまた仲良くなれたのに変な噂立てられたら、気まずくなってしまうかもしれない。
それだけは嫌だ。
「違うよ! 偶然一緒になっただけ!」
「ですよね」
……ですよねって。
私と夏目くんじゃ合わないって思っているんだろうな。
水井さんと夏目くんはお似合いだ。
華やかな見た目も、年齢も近いし。
わざとらしく答えちゃったかなって思ったけど、水井さんは信じてくれたみたいでそれ以上は何も聞いてこなかった。