素直になれない7センチ
————女子会がお開きになり、外に出ると火照った頬を冷たい夜風が冷やしてくれた。
コンビニで荷物の支払いをすることを忘れていて、みんなと別れて一人寂しく現実に戻る。
美味しいもの食べて、お酒を飲んで、女子トークをして……楽しい気分から一変。
思い出すのは、水井さんと一緒に歩く夏目くんの姿。
あの後、付き合いはじめたのかな。
胸が痛い。胃がムカムカする。なにこれ……やめてよ。そんなんじゃないってば。
「お客様お控えになります。……お客様?」
「あ、すみません。ありがとうございます」
領収書を受け取り、蛍光灯に照らされた店内から出て肌寒い夜道へと戻る。
はあ……家で飲み直そうかな。
明日休みだし。なんかすごい飲みたい気分。
とぼとぼと駅までの道のりを歩いていると、薄ぼんやりと見えてくる男女の影。
……リア充め。ラブラブカップルか。
今、心が荒んでるから幸せそうな人たちに良い感情を抱けそうにない。