素直になれない7センチ
「それよりも、こんな時間に一人でこんなとこにいないで。危ないから」
珍しく怒っている夏目くんが、私の目の前にきて腕を掴んで引っ張り上げてきた。
「あの、夏目くん!?」
「俺は小学六年生の時に香穂さんが高校一年生で、中学三年生の時は香穂さんが大学生一年生で……」
「えっと……うん。そうだね?」
いきなりどうしたんだろう。
それよりもこの状況がまだ飲み込めていないんだけど……。
「やっと社会人の香穂さんに追いつけたんだ」
切なげに顔を顰めた夏目くんにギュッと手を握られる。
「今度は聞く。また突き飛ばされてたくないから……」
「え……」
「勘違いじゃないよね?」
その意味は、あの頃の出来事と繋がっている。