素直になれない7センチ
うわぁ……恥ずかしい。なにこれ! 自分からキスするのってこんなに恥ずかしかったっけ!?
砂利を踏む音が聞こえてきたかと思いきや、後ろから抱きつかれた。
「ちょっ」
「送らせて」
「……う、うん」
「それと、」
自分の頭の上から夏目くんの声が聞こえてきて、7センチのヒールを履いている私よりも夏目くんの背の方が高いことを今更ながら実感する。
足が痛くても意地を張って頑張れる<おまじない>だと履き続けたヒール。
大人の女ぶってかっこつけて痛みに耐えなくても彼は————
「もう一回」
あの頃からずっと私を想ってくれていた。