悲しみに、こんにちは3
芹沢先輩と一緒に映画館に行ったのは12月の始めだった
アクション好きの先輩は、スターウォーズのファンで続編の公開を心底楽しみにしていた
「もうね、あのラストはねぇ、伝説なのよ、ねぇ……お父さんがねぇ……」
「あーはいはい、分かりましたからね、先輩、早く座って」
子供のようにキラキラとした目で
大好きな洋画を1人で話している
先輩と付き合ってから、俺は彼女のいろんな一面を知った。
まずはかなりのインドア派で
小説や漫画を読むのが大好きなこと
海外ドラマオタクだが、基本、惚れっぽくて飽きやすいのでシリーズ制覇したことがないこと
案外、泣き虫で、小説なら最短3ページ目で号泣
曲がったことは大嫌いで
どんなに急いでいても、たとえ車が走っていなくても信号無視は出来ない
馬鹿正直で、裏も表もない、つまり単純
何事もそつなくこなすから
人に頼るのが苦手
「おい、入家君?聞いてんのか?」
「うん、聞いてるよ。007危機一髪?だっけ?」
「お前、聞いてねえな」
そして、時どき口が悪い。