悲しみに、こんにちは3
「先輩、ずっとこんなイジメに逢ってるんですか?」
無表情の彼は私を見下ろしていた
脚は排水溝に入っていたため
私の方が彼より低かった
「まあ、今回はちょっと悪質だよね。
頭使われたなってカンジかなあ。
どうせなら、パンクとかの方が可愛げある……」
「せんぱい!!」
彼は急に大きな声を張り上げた
私はその声に驚き、後ずさりした
「……どうしたの、入家君……」
「先輩、なんで黙ってたんですか、なんで俺に相談してくれないですか……」
「入家君が悪いわけじゃないじゃない」
「…俺じゃ、頼りないですか?」
「……そうじゃなくて、入家君のせいじゃないでしょ?」
「でも、俺と付き合ってるからでしょ?」
「……まあ、そうだけど、これくらい仕方ないよ
わたしって悪い噂しかないし、そりゃあ
皇子取られたら、むかつくでしょ?
これは、自分で蒔いた種だから、ね?」
うつむく彼を慰めようかと手をのばしたが、やめた
私の手は泥だらけで汚い。
しかし、戻る手を躊躇いもなく引き寄せたのは彼の方だった