セカンドパートナー
並河君、モテすぎだよ……。
羽留と気まずいだけで充分落ち込んでいるのに、ますます気持ちが沈む。
並河君はそのうち誰かと付き合ったりするのかな。この前、私にも恋愛系の質問をしてきた。ってことは、私以上にそういうことに興味があるんだろうし……。
そんなの、なんか嫌! 並河君は私の友達だ。勝手に恋愛されて友達付き合いをいい加減にされるのは困る! とはいえ、一般的に友達の恋は応援するべきものって言われてるよね。私ってやっぱり自分勝手なヤツだ……。
ぼんやりしていたせいで、麺の湯切りをする時、手元が狂って指先をヤケドしてしまった。
「あつっ…!」
その拍子にザルから麺が流れ落ちそうになってしまったので、とっさに手を伸ばし掬(すく)い取ることで、余計熱い思いをした。流れていく麺が思い通りにならない自分の感情と重なって見えて、つらかった。
「素手で触ったらダメ! ここはやっとくから天使(てんし)ちゃんは水で冷やしな。で、保健室走る!」
班長の男子にきつく言われ、あわてて患部を水で冷やした。
熱いのは、ヤケドした部分より心の方。涙が出そうになるのを笑顔で我慢し、
「ごめんね。後はお願い」
麺のことは班長に任せ、保健室に向かった。
熱湯がかかった部分がジンジンするのに、調理室を出た瞬間気が抜け急ぐ気にもなれず、廊下をゆっくり歩いた。なんか、色々疲れた……。