セカンドパートナー
「そうですよ。では、失礼します」
何とか笑顔を作り、教室を出た。
「また連絡するね〜。お疲れ様」
秋月さんは柔らかい口調で私を見送った。
嫌な鼓動が、止まらない。秋月さんは気付いてるーー。並河君と私が、ただの同級生同士ではないことに。
その場を立ち去った後、私のいなくなった景色を見て彼女がつぶやいた言葉を、聞けるはずなどなかった。
「あなたが体験に来た日、奏詩は私との関係をあなたに知られたくないって目をしてた。あそこまで動揺した彼を初めて見た。彼が絵を描けなくなったのもその時からなの。ただの同級生だなんてウソ……。旦那さんの前でそれを明らかにして、あなたの幸せを粉々につぶしてあげる。私だけが失うなんて不公平でしょう?」
ーー潜んだ思惑(終)ーー