セカンドパートナー

 気が気じゃなかった。

 夕方、書道教室から帰るなり、私は羽留に電話で助けを求めた。

 羽留も、夕食の支度や買い出しに出ているであろう時間帯。いつもなら遠慮して電話を控えるけど、今はそういうことさえ頭から飛んでいた。

「相談があるんだけど、近いうちに会えないかな?」
『どうしたの? ただ事じゃなさそうだね。大丈夫?』
「うん。今すごい不安で……。LINEしようかと思ったけど、やっぱり直接聞いてほしいんだ」

 こちらの深刻さを察したように、羽留の声も緊張を含んだ。

『分かったよ。どれだけでも聞くから、それまであんまり思いつめないようにね』
「ありがとう。会えるの楽しみにしてる」

 会う予定が決まると、少しだけ気持ちが落ち着いた。

 羽留の声を聞くだけで安心感に包まれるというのもある。高校の時から大事な相談はまっさきに羽留にしてきた。


 予想通り、優人は秋月さん発の鍋に参加すると言ってくれた。

「最近有休もらってないし、ちょうどよかった。あまちゃんの都合に合わせるよ」
「いいの? 無理してない?」
「全然。最近仕事ばっかでそういうことから遠ざかり気味だったから、むしろありがたいよ」

 今夜、珍しく早く帰ってきた優人は、いつもより元気だった。私の作った甘口カレーをおいしそうに食べている。

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