セカンドパートナー

 高校の頃、絵をがんばる並河君を見ていたら何かしたくなって、何となく空の写真を撮った。そしたらたまたまうまく撮れて、いつの間にかそれが趣味になった。

 草木もいいけど、主に撮るのは空。並河君はいつも楽しそうに私の写真を見てくれた。

 うまく撮れたものを厳選し、並河君に何枚かあげた。お金もそんなになかったので、高校の頃はインスタントカメラで撮影を楽しんだ。

 大学に入ってからは少ないながら毎月貯金をし、デジタルカメラを買って、ひそかに趣味を楽しんだ。

 年下、年上、同い年。色んな性格の男の人と付き合い、別れ、変わったような、変わらないような、自分の内面。

 今の自分に疑問が湧いた。本当にこのままでいいのか?

 そんな気持ちで撮影した空は、いやに濁った色をしていた。高校の時みたいに鮮やかな青空は、どれだけ撮っても残せなかった。


 そんな時、フリーになった私に告白してきたのが、いつの間にか友達の一人になっていた優人だった。

「自分のこともっと大事にして! 寂しそうにしてるあまちゃんの顔、もう見たくない」

 自分を大事にしてーー。いつかの並河君と同じセリフを放った優人に、ドキッとした。

 同じ大学にいるのが厄介だし、異性として見たことがないけど、この人こそ恋愛するべき本当の相手なのかもしれない。

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