セカンドパートナー
並河君は、大切な呼び出しに応じてくれなかった。その時のことを、私はこう受け止めている。
並河君は、私の前から一度消えたーー。
今さら責めるつもりはない。最初メールで謝られて以来、お互い、そのことには触れなかった。
高校卒業後はメールや電話の交流だけで、結婚後は電話も減ったけど、彼との関わりで私は何度も救われた。
「そのことは、もう気にしてないよ。一方的に呼び出した私が悪いんだしさ。並河君にも来れない事情があったんだと思う」
「でも、あの時並河君が来てくれてたら、詩織は今、もっと幸せだったかもしれないんだよ。そう思うと納得いかない……」
羽留はしばらくじれていたけど、穏やかに笑う私に、それ以上何も言おうとはしなかった。
そして、本題を尋ねてきた。
「電話で言ってた相談って何だったの? 詩織、普通じゃなかった。優人君のことではないよね?」
「うん。……秋月さん、並河君と私の間に何かあるって疑ってる」
「本当に…!?」
羽留は身を乗り出した。
「それ、まずくない?」
「まずいと思う……。やけにしつこく鍋に誘ってきたしさ」
「鍋!? まだそこまで仲良くないよね?」