セカンドパートナー

 去年の秋。法事の前に、義親の家に行った時のこと。

 法事に参加できないほどではないが体調がすぐれず、義両親が朝食にと出してきた軽いデザートすら喉を通らなかった。

「すみません。せっかく用意してもらったんですが今はちょっと……」

 何度経験しても慣れない。こういう義家族ぐるみの行事は憂鬱で緊張してしまい、食欲がなくなる。

 そんな私を見て、義父は悪びれなく言った。

「子供ができたわけでもないのに体調悪くなるなんてことあるのか」

 は?

 あからさまな嫌味に傷つき、腹が立った。

 私が子供を授かりつわりで苦しそうな顔をしていれば、あなた達は満足ですか?

 言い返したくなり、言葉を飲んだ。そんなわけはない。子供ができたらできたで、この人達は無自覚に私を傷つけるのだろう。

 そばにいた優人は、私の心境を察することなく、そばでのほほんとテレビを観ていた。悲しくなり、苛立った。

 これが、子供を望まない理由のひとつーー。


 独身時代から、一生子供は作らないと決めていた。

 ひとつの命を育てる責任は想像以上に大きい。自分の子供に自分のような思いはさせたくないけど、大人になり親に共感できることが増えるたび、ダメな親になりそうだ、親のことばかり責められない、そんな思いが大きくなっていく。

 そういう気持ちに加え、今、子供を産まない大きな理由。自分の子供が、もし義両親に似たら……? 想像しただけでゾッとする。

< 156 / 305 >

この作品をシェア

pagetop