セカンドパートナー
結婚してから知ったけど、優人はやはり義両親に似ている。なにげない仕草や口癖、行動など。それに気付くたび義両親を思い出して腹が立ち、その気持ちは優人にまで転移してしまう。
義親と旦那は別の人間。
頭では分かっているのに、どうしようもなく優人に嫌悪感が湧く。結婚当初はそれでよく優人に八つ当たりした。息苦しかった。
「いい歳なんだから、そろそろ子供作らないと後々産めなくなるよ〜」
最近、法事などで義親に言われる言葉。嫌いなセリフ第1位。
新婚の頃からそう。義親には色んなことに関して無神経なことを言われる。
「実家に全然帰ってないんだって? 育ててくれた親だろ? 大学まで出してもらったんだろ?」
「親ですが、他人のようにしか思えません。自分のことしか考えられない両親でした。たくさん傷つくことをされつらかったので、とても一緒に暮らせないと思い、18で家を出て自活しました。大学の学費も自分で払いました。実家には二度と帰るつもりありません」
「一緒に住んでたのに他人? なんじゃそら」
この人、ホントに話聞いてた?
そういう家庭もあるんだよ。心の中で言い返した。
理解されない私の境遇。過去。しょせん他人だから、そういう反応をされるのも予想がついた。だけど許せなかった。
「分からない」という大義名分を振りかざして踏み込まれたくない領域にまで口を出し、自分の主張を声高く叫ぶ。法に触れないだけで、それは大きな罪だと思う。
義親を心から嫌いになった瞬間。結婚して1年半が経った頃のことだった。
だからといって表立って関係を悪くするのもよけいストレスになりそうだったので、何を言われても気にしないふりをした。
結婚したばかりの頃、義親とは合わないとすぐに察したので、下手に揉めないよう仕事の多忙さを言い訳にして距離を置いて付き合っていたら、口の悪い義母は怒りを爆発させた。
「忙しい忙しいって、何がそんなに忙しい!? 普通、嫁になったら週に一度は電話くらいしてくるものだろ? 4ヶ月も顔見せないってどういうことだ! 人に話したら口そろえてアンタはおかしいって皆言うぞ! いつまでもそんな風なら実家帰れ!!」
唖然とした。
4ヶ月というのは義母の思い込みである。新婚当初は気を遣い、優人と共に月に一度は顔を見せ、義親と一緒に夕食を摂るようにしていた。
話すことなど何もない苦痛な時間だったし毎回憂鬱だったけど、優人の立場を考え我慢し、愛想笑いで必死に話題を探した。
それなのに、義母の頭の中では4ヶ月も会っていないことになっており、私の愚痴を自分の知り合いなどに触れ回っていることまで暴露。
頭にきたし、この人頭悪いんだなと思った。