セカンドパートナー
羽留は車で来てくれた。カフェの外へ出ると、見送るため駐車場までついていった。私の自宅はここからすぐ。
もう夜になっている。表も人気がなかった。
「詩織、ウチのお母さんに似てる。初対面の時からそう思ってたんだ。だから話しやすかったのかもしれない。お母さんも泣き上戸なの」
別れ際、笑いながら羽留が言った。
「お母さんも姑との関係で悩んでた時期があってさ……。お母さん、お父さん方のおばあちゃんにいじめられてたの。あたしとお兄ちゃんもそのおばあちゃんには可愛がってもらえなかった。お母さんの血を継いでるって理由でね」
知らなかった。高校の頃、他校に二つ上のお兄さんがいるとは聞いていたけど……。
「今だから言えるけど、あたし達が高校生の頃、お母さん、首吊って自殺しようとしたんだ」
「……!」
「お兄ちゃんが見つけて止めたから、未遂で終わったけどね。それ以来、お母さんはお父さん側の親戚の法事には行ってない。おかげで、精神的なものから来るお母さんの長年の体調不良も最近は治りつつあるよ」
「そうだったの……。知らなくてごめんね」
知っていたら、もっと羽留のそばにいた。でも、言えなかった気持ちもなんとなく分かる。私も親のことは羽留に話せなかった。
高校の頃、何度か羽留の家に泊まりに行った。お父さんは陽気で面白くお母さんは優しい人で、とても居心地がいい家だった。最初は緊張したものの、そのうちなじみ、お母さんや羽留と一緒に料理を作ったこともあった。
お兄さんは彼女さんや友達の家に遊びに行っていることが多かったので、直接会ったことはなく、顔はプリクラでしか見てないけど。