セカンドパートナー

「二人の関係がうまくいくといいなって、あの頃から思ってた。だから、自分の男友達と詩織が付き合ってることにしようって言い出した並河君に、納得いかなかったんだよね」

 そういえば、羽留はそのウソに否定的だった。

「詩織のこと好きなら正々堂々好きって言えばいいのに! なんでそんな遠回しなやり方してるの!? って、じれったくなったんだよ。あの時は詩織も彼氏ほしいとか考えてないみたいだったから、結果的に並河君の作戦はよかったのかもって思えたけど」

 羽留は、長い間心配してくれていたんだ。

「ありがとう。並河君に気持ち伝えて、ちゃんと終わらせてくるね」
「がんばってね! きっとうまくいくよ〜」

 いつもの羽留の励まし。今日は、これまでとは違う力強い何かを感じた。

 今夜並河君に告白して、しっかり振られてくる。そして、鍋の時には普通の友達として振る舞えるよう、ちゃんと立ち直ってみせる。



 幸い、優人は残業が長引き、まだ帰ってなかった。念のためLINEで帰宅時間を尋ねると、トラブルが起きたとかで0時を過ぎると返信が来た。

 よし。時間はたくさんある!

 優人のために簡単な夕食を作り、自分は何も食べず、並河君にメールをした。緊張で、とても食欲は湧かない。

《今、電話できる?》

 返信の代わりに、すぐ電話がかかってきた。

『どうした?』
「掛け直すよ。こっちの用件だし」
『いいよ。このくらい』
「じゃあ……。ありがとね」
『どういたしまして。久しぶりだな、電話したいなんて。いつでも遠慮せずにかけてくれればいいのに』
「秋月さんがいたらまずいと思って……」
『大丈夫だよ。今は一人だから』

 自分のアパートに居るってことかな。

 じゃあ、言っていいよね?

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