セカンドパートナー


 私達の気持ちは、17年の時を超えてようやく通じ合ったーー。


「並河君、私のこと友達って言った……」
『詩織もそうだっただろ? 俺も同じ。恋心全開で近づいたら今の関係が壊れるんじゃないかって……。そういう不安に、負けた』
「……いつから?」
『入学式に貼り出されてたクラス表で詩織の名前見つけた時から。話すようになって、もっと好きになった』
「それウソだ〜」

 嬉しいのに信じられなくて、真っ先に疑った。

「そのわりに、並河君最初私のこと音楽科の生徒だって勘違いしてたよね? クラス表見てたなら普通科って知ってるはずなのにさ。この際、ホントのこと言って?」
『普通科の子だって知ってたよ。だから音楽科の生徒って勘違いしたフリで話しかけた。ただでさえ学科別に校舎が別れてて特別なことでもないと他学科の人との接点なんて作れなかったから』
「わざわざそこまで考えたの?」
『詩織と話したい一心でな。いつも小山さんと一緒にいたし。あ、今は結婚して久野さんになってるんだっけ』
「そう、羽留は久野さんだよ」

 ずっと前にメールで話した羽留のこと。なにげないことまでそうして覚えていてくれるのが嬉しかった。優人ではこうはいかない。

「並河君は何でもよく覚えててくれるね。嬉しいよ」
『当たり前だろ。詩織のことなら、パソコンの容量超えて覚えておく自信ある』
「パソコンって! それはさすがにオーバーじゃないかな」
『だな。あははっ』

 サラッとドキドキさせてくれる。

 それでいて不思議。

 電話越しなのに、昔より近い距離で話せてる気がする。

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