セカンドパートナー
「私なんかのどこがよかったの?」
『たくさんあって言い切れないけど、あえて言うなら気持ちが通じ合うところ』
「通じ合ってたら告白までこんなにかからないよ」
『だな。遠回りしたな』
……分かってる。並河君が言いたいのはそういうことじゃない。
私達は、同じものを見て、似たようなことを考えた。高校時代に何度も感じたそういう感覚のことを言ってるんだと思う。
「私、自分のことしか考えられない自己中女だよ。結婚してからますます性格悪くなったし……」
『詩織は魅力的だよ。それに、自分のこと一番に考えるのは誰でもそう。ストレスたまれば悪いことも考える。俺も同じだから』
並河君が自己中だなんて、私は思わないけどな……。
「優しいね。そんな風に言ってくれるの、並河君だけだよ……」
優人の場合は違う。私の可愛げない言動を真に受け、その奥にある気持ちを知ろうともしてくれない。そして、苛立ちをあらわにする。
『優しくないよ。田中さん利用して詩織に振り向いてもらおうとしたし、詩織が菱田君と仲良くなりそうなところを邪魔したのも、俺とのウワサが流れた件で詩織に謝りに行ったのも、俺の友達と付き合ってることにしたらって提案したのも、詩織と仲良くなってそばにいるため。必要とされるため。詩織のためって言いながら、本当は全部自分のためだった』
そうだったんだ……。
「そうだとしても、それで私は助かったし、ウワサの件で謝ってくれた時も嬉しかったよ。初めて人を尊敬した! 他の人とは違うなって思った。だから、並河君は優しい人なんだよ。そんなところが大好き」
『詩織……』
照れた声音で、並河君はつぶやいた。
『そういうの、反則。会いたくなるから』
「思ったこと言っただけだよ」
『さっき、メールくれる前、俺も、詩織の声聞きたいと思ってた』
「並河君……」