セカンドパートナー
この気持ち、もっと早くに伝えればよかった。結婚を決める前に。
そしたら、性格も、考え方も、それこそ、人生180度変わっていたかもしれないーー。
振られるつもりで告白したのに、並河君との恋の続きを期待し、後悔の念が胸を染めた。
今さら遅い……。
「秋月さんと付き合ってるのに私のこと考えてたの?」
『そうだよ。詩織のこと考えながら、毎日、絵描いてた』
「私も、これ並河君に食べてほしいって思いながら夕食作ってたよ」
『詩織、料理苦手って言ってなかった?』
「うん。あんまり得意じゃないよ。でも、それなりに作れるようにはなったかな。嫌でもやらなきゃいけないし」
『優人さんのため?』
「……うん」
『妬けるな』
並河君が優人の名前を口にした瞬間、現実が戻ってくる。こわいほど速く。
甘くて優しい時間は、すぐに消えてしまった。
『あの時行けなくて、本当にごめんな』
「高校卒業後、駅に呼び出した時のこと?」
『うん。詩織には忘れるよう言われたけど、気になって仕方なかった……。今さら遅いかもしれないけど、言い訳させて?』
「……うん」
『母方のおばあさんが亡くなったんだ』
そんな……。