セカンドパートナー

 初めて並河君のおばあさんに会った時はかなり緊張したけど、それはすぐになくなった。

 大人への苦手意識が強かった当時、羽留のご両親や並河君のおばあさんとは気楽に話せた。

 並河君が優しい理由が、おばあさんを見て分かった。おばあさんの愛情深さが、並河君を育んだ。

「奏詩のことよろしくね。いつもありがとう」

 毎回、会うとそう言われた。

 物腰の柔らかさに反し、おばあさんはかなりパワフルで行動的な人だった。月に何度か、車で1時間かかるようなお墓まで歩いてお参りに行っているらしい。ビックリした。

 私なんて、家と学校の往復で簡単にスタミナ切れする。体育の授業なんていらないと思うくらいだ。


 健康的な人だったし、おばあさんはまだ生きているのだと当然のように思っていた。

 高校を卒業してから会いに行けなかったけど、それでも、自分の親以上に親しかった人。

 亡くなったことを知らなかった自分が悔しくて、そして、おばあさんがもうこの世にいないのだと思うと悲しみが込み上げてきた。

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