セカンドパートナー
昨日のことみたいに蘇る記憶。
並河君とおばあさん。羽留と私で、並河君の絵を見て感想を言い合い、談笑し、出してもらったお菓子を食べ、おばあさんが淹れてくれたおいしいお茶を飲み、笑った。
いつもごちそうしてもらってばかりで悪いからと、羽留の提案でおばあさんに渡すための駄菓子をたくさん買って持って行った。
その頃駄菓子屋を見つけるのは難しかったけど、羽留のお父さんがいい店を教えてくれた。
「最近そういうお店はめっきり減ったけど、詩織ちゃんは駄菓子は好き?」
「好きですよ。ラーメンとか、パリパリのせんべいみたいなやつとか。小学校の遠足にはよく持って行きました。久しぶりに食べたいなぁ」
「そう、いいわよね。私もあれ大好きだったのよ」
戦争による食料不足を経験したおばあさんにとって、駄菓子は夢のような存在だった。子供の頃は10円のお菓子を買うことすら難しく、贅沢極まりない品だったそうだ。
「お礼なんて、そんなこと気にしなくていいのに。お話できるだけで嬉しいんだから。でも、こんなにたくさんありがとう。大切に大切にいただくわね。これからも遠慮なく遊びに来てちょうだい。奏詩も私も嬉しいから」
そう言って、おばあさんは満面の笑みで駄菓子を受け取ってくれた。