セカンドパートナー
変わったけど、やっぱり変わらない。昔のままの並河君がそこにいる……!
喜びで頬が緩んだ瞬間、疑問が湧いた。
なぜ、並河君が教室の鍵を持ってるんだろう? 書道の先生って並河君のこと?
いや、それはない。彼は著名な画家だ。副業する時間なんてないだろうし、書道に関心があるという話も聞いたことがない。
メールのやり取りから知る彼のスケジュールを考えると、こうして普通に地元の街を出歩いているのがおかしいくらいだ。
それに、見学案内のパンフレットに書かれていた先生の名前はたしかーー。
「お待たせしました! 遅くなって申し訳ございません」
「秋月先生!」
美人では形容しきれない。『見目麗しい』という言葉は彼女のために存在するのではないかと思うくらい綺麗な女性がやってきた。同性なのに、あまりの美しさに思わず見とれてしまう。
待っている間それぞれに談笑していた生徒さん達が秋月先生に気付き、嬉々とした表情で彼女を囲む。秋月先生が普段からどれだけ慕われているのかが、初参加の私にも伝わってきた。
念のためにと思い持参していたパンフレットを取り出し、先生の名前を見た。
秋月香織(あきづき・かおり)。
緩くパーマのかかった彼女の長い髪から、柔らかい匂いがした。清楚なのに色気もあり、上品な見た目なのに内側からにじみ出る、はかり知れない何か……。オーラのようなものを強く感じる。