セカンドパートナー
「このままでいいのかなぁ、私……」
久野羽留(くの・はる)と遊んで自宅に戻るなり、私はため息まじりにつぶやいた。
羽留とは高校時代からの友達で、もう人生の半分以上の付き合い。
羽留も私も結婚しているのでしょっちゅうというわけにはいかないが、お互いに子供がいないということもあり、独身の頃みたいに都合が合えばカラオケやショッピングを一緒に楽しんでいる。
生き方や結婚後の生活が違っても、羽留とは考え方や感じ方がよく似ている。だから、一緒にいる時間はあっという間に過ぎてしまうくらい楽しい。
今日もそのはずで、羽留に甘えて日頃のストレスを発散してきたつもりだ。
それなのに、なんでだろう。
私の人生このままではいけない!
そんな強い不安や焦りを覚えていた。
結婚して10年。今年で33歳になるけど、今後も子供を作る予定はない。
同じ市内に住む義親は、法事で会うたび「早く孫の顔が見たい」と言ってくるので、とても困る。
「そうですね、そのうちですかね〜」
曖昧な笑みを浮かべて苦笑する私を見ても、旦那の優人(ゆうと)は何も言わずぼーっとしている。さりげなくフォローするなり助けてほしいんだけどね、ま、無理か。
優しい人だけど、優人は良くも悪くもその辺り鈍感だ。
優人にとっては身内でも、私にとっては赤の他人が集まる場所。そんなところで本音を吐露するつもりなんてさらさらないので、耳タコな義親の言葉も軽く受け流した。