セカンドパートナー

「あの頃も、詩織と一緒にいるのドキドキしてたな」
「並河君が…?」
「そうは見えなかった?」
「明るくて冷静で、他の男子とは違うというか……。そう、大人っぽい人だなぁと思ってたから」

 並河君はくすぐったそうに笑った。

「昔からよく言われる。何なんだろうな。子供っぽいことけっこう考えるのに」
「オーラがそういう感じなんだよ。人を引き寄せる、みたいな。あの頃は自覚なかったけど、そんな並河君も好きだったよ」
「過去形なんだ?」

 拗ねたような並河君の口調。新たな一面を見た。少しいじめたくなる。

「過去形って言ったらどうする?」
「ショックで泣く」
「さっきも泣いてたのに?」
「詩織には敵わないな。いい意味で、気持ちをかき乱される」
「ごめんね、冗談。ちょっと、並河君のこと困らせてみたくなっただけ」

 あわてて謝ると、並河君は頬を赤くしうつむいた。

「並河君……?」
「詩織になら困らせられてもいいな」
「……!」

 自分で仕掛けておいて、恥ずかしくなる。

 照れて、お互い何も言えずにいると、高校時代によく寄ったコンビニが目に入った。それなりに古びていたけど全く変わってない。嬉しくなった。

「詩織、何が食べたい?」
「チョコアイス」
「だよな。俺はバニラにする」

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