セカンドパートナー
あの頃のように肩を並べて冷凍庫の中を探したけど、当時と同じ種類のアイスはなかった。もう生産されていないのかもしれない。その分、高校時代にはなかったオシャレなパッケージのアイスが増えていた。
仕方のないこと。それでも、むしょうに悲しくなった。時の流れに打ちのめされる。
「やっぱりアイスはいらないよ。寒くなるし」
私は言い、先にコンビニを出た。少しして、並河君は後から出てきた。
「アイスはダメだったけど、これは飲んどきな」
「ハチミツレモン……? あったかい」
「まともな薬にはならないかもしれないけど」
「ありがとう」
軽く風邪気味だったのを気にしてくれていたらしい。並河君が手にするビニール袋の中には、のど飴や栄養剤が入っている。
「後でお金払うね」
「いらない。甘えてよ。恋人なんだから」
「う、うん……」
嬉しかった。でも、うなずきつつ、心の底ではためらいが湧いた。
私はまだ正式に離婚したわけではない。それでも、並河君はもう、恋人のつもりなんだ……。
これでいいのだろうか……?
初恋の人を、何より大切にしたい人を、私は自分の身勝手で不幸な恋に引きずり込ませただけなんじゃない?
母校への道のりは、駅から徒歩10分。当時は短く感じたのに、今夜はやけに長く感じた。
ーーたどり着いてしまえば最後、もう二度と引き返せない。生涯を賭けた選択を迫られている、そんな感じがした。