セカンドパートナー

「……鈍かったもんね、私」
「表面的にはそうでも、心の奥は違ったと思うな。俺もそう。自信がなくて言えなかったけど、無自覚のうちに発せられる詩織の好意を無意識のうちに感じ取ってた気がする」

 並河君は確信をもって言った。

「人の心は愛を感じるようにできてると思う。環境や人間関係、色んな理由でその能力を使えなくなってしまうことがあっても。どんな人にも生まれつき備わってる力だから」

 ……頭では分かるけど、やっぱりいまいち分からない……。

「並河君は私のどこを好きになったの?」

 思い切って尋ねた。並河君のくれた言葉は、どれも本当に彼が感じたことそのものなんだと思う。でも、足りない。

 私の心に染み込むまで、もっとそういう言葉を聞きたい。

「詩織……」

 だって、私は自分に自信がない。人妻で、旦那の家族とうまくやれないような女で、そのくせトラブルは嫌と言い訳し心の中でしか嫌いな人を批判できない小心者。

 こんな人間のどこがいいのか、全く理解できない。

「ごめん。前も訊いたのに、くどいよね……」

 怖くなって、謝った。納得できないようなことを言われたらどうしよう。そんな不安もある。

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