セカンドパートナー
「高校の頃くれた写真、あんなことになってごめんな……」
「ビックリしたけど、もう気にしてないから」
また、いい顔をしてしまう。
人の趣味をバカにした、秋月さんのことはすでに嫌い。でも、彼女がああいう行動を取った気持ちは理解できる。こうして並河君と逃げてきてしまったから、ただの同級生だなんて言い訳はもう通用しないだろう。
「あの人も、並河君のことが好きなんだよ。手放したくなくて、必死に私を消したかったんだと思う」
「詩織は悪くない。分かってたんだ。香織が俺の本音を見抜いていること。今日香織が鍋に詩織と優人さんを呼んだのも、詩織達夫婦を別れさせるつもりで仕組んだことかもしれない」
並河君はつらそうだった。
「香織をああいう風にしたのも、詩織を泣かせることになったのも、全部、俺のせい。傷つけてごめんな。詩織を忘れるために誰かと付き合うなんて無理なの、田中さんの時で分かってたはずなのに」
私からは訊けないでいた、高校時代の田中さんのこと。
言いかけて、並河君は口を閉ざした。
「ごめんな。無神経だった……」
「ううん、話して? 知りたい」
無神経だったのは私の方。田中さんのマフィンを渡し、並河君の気持ちを傷つけた。恋してくれたのにその純粋な想いを粉々にした。鈍感という凶器で。