セカンドパートナー

 人生初の彼氏。その人には、ゼミの飲み会の帰り道に突然好きだと言われた。

 オシャレで照れ屋。気の優しいいい人で、ゼミ仲間としての好感はもちろんあった。でも、異性として見たことがない相手なので、特別な感情を向けられるのはとても困った。

 友達でいたいと言い告白は断った。彼も納得してくれた。

 それなのに、その後も彼は、ゼミの最中、露骨に熱っぽいまなざしでこちらを見てくるようになった。話す時も、緊張感丸出しな感じで、好きと言われなくてもそれが伝わってくる。戸惑った。

 そんな彼と私を見た美季は、明るく笑った。

「あんな一途な人、珍しいよね! 年上なのにウブな感じだし、付き合ったら大事にしてくれるかもよ?」
「いい人だけど、そういう風に見た事ないし」
「試しに付き合っちゃえばいいのに。付き合ってるうちに好きになるかもよ?」
「うーん。でも……」
「じゃあ、試しに一緒に遊んでみれば? ゼミ以外の姿見たらイメージ変わるかも!」

 美季がそんなことを言ってきたのは、半分は好奇心、半分は自分の男友達に私達の仲を深めるよう頼まれたから。

 美季は、ゼミの彼の男友達と講義で仲良くなっていたらしい。そんなところでつながっているなんて知らなかった……。

 友達がいるなら気が楽だと、美季やその男友達と一緒に、ゼミの彼と遊びに行った。遊園地やボウリング。話し上手な美季はいつも場を盛り上げてくれた。楽しかった。

 ゼミで会うだけの時より仲良くなって、彼への親しみも増した気がした。

 ゼミの飲み会は、月に1、2度くらいあった。彼と笑い話ができるようになった秋の終わり、ゼミの飲み会が行われた。

 その日の飲み会はいつも以上に盛り上がり、楽しい空気につられけっこう飲んでしまった。

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