セカンドパートナー
鍋をした翌日、羽留に全てを報告した。外では話しづらいことなので、家に来てもらった。
一度は並河君と別れたが、鍋で色々ありセカンドパートナーとして付き合うことになったと。
羽留はとても喜んでくれた。秋月さんのしたことを怒ってくれた。前に会った時から連絡できていなかったので、羽留も何となく察していたらしい。
「セカンドパートナー、かぁ。あたしもあまり聞いたことなかったけど、不倫じゃないし全然アリだよ。並河君は恋人として詩織に一途でいてくれるわけだしさ。そういう関係って、詩織と並河君のためにあるようなものだと思う。反対する人もいるかもしれないけど、詩織が詩織らしくいられるならいいと思う! 近所で会う時、人目が気になるならあたしも誘って? 二人の関係が続くように協力するから。
今まで我慢してきた分、これからは並河君とたくさん幸せになってね。本当におめでとう!」
何歳になってもときめくことは大事。羽留のパート先の年上女性も、そう言っていたそうだ。
「パート先に、結婚してて子供もいるけど綺麗でかっこいい女の人がいるんだよ。あたし達よりだいぶ年上だけど、そんな風に感じないくらい。いつまでもドキドキしたり誰かにときめくことって大事だって、その人も言ってた」
羽留は肯定的な笑みを見せ、褒めてくれた。
「並河君とのことがあってから、詩織、可愛くなったよ。優人君のことで悩んでた時はピリピリしてたけど、今は、なんていうか、内面から出る雰囲気? それが違う! 話し方も柔らかくなったしさ」
可愛いかどうかはともかく、心境の変化は自分でも感じていた。
仕事中に吠えてくる犬や、マナーの悪い車の運転手。横に広がって歩く邪魔な通行人。ゲラゲラ大声で笑う通りすがりの人。前まではいちいち目につき不快に感じたことも、気にせず流せるようになった。