セカンドパートナー
羽留が言っていたことを思い出す。
『次に好きな人ができる時っていうのは、自分が成長したがってるタイミングなんだって』
その通りかもしれない。
優人といてそれなりに成長したかもしれない。だけど、ある時にそれは止まり、それ以上は成長できなくなった。
並河君と付き合うことでさらに高みに登れる。それこそ魂レベルでの成長を促してくれる恋愛。無意識のうちにそう判断したのかもしれない。
現に、並河君をセカンドパートナーにしたことで、日々、自分を肯定することができている。並河君が、ありのままの私を好きだと、毎日のように言ってくれるおかげだ。
今日も家事をがんばった。仕事やりながら、本当に偉いよ。チラシ配りの仕事中、住人に『ポストにゴミを入れるな!』と怒られたけど、穏やかに謝れた。前だったらそうはできなかった。
自分を傷つけるようなマイナスの言葉が、前ほど頭に浮かんでこなくなった。
ただひとつ、今でも気がかりなのは、並河君がスランプ状態で絵を描けなくなっているということーー。
幼い頃から好きだったことが出来なくなるなんて、とてもつらいんじゃないだろうか。羽留も、ピアノでそういうつらさを体験したと言っていた。
私には二人のように秀でた才能はないのでそういうつらさを自分のことのように感じることはできないけど、想像することならいくらでもできる。