セカンドパートナー
同情するような目でため息をつくと、美季は悲しそうに困惑をあらわにした。
「30年近く仲良かったけど、詩織のそういうとこ初めて見た。大学の時、誰と付き合っても冷めてたもんね……。優しい人やかっこいい人に好かれても淡々としててさ。そんな詩織を熱くさせるなんて、並河奏詩はよっぽどいい男なんだろうね」
「うん。彼以上の人は世界中どこを探してもいない。やっと両想いになれたの。二度と離れたくない」
「……気持ちは分かるよ。私もそういう気持ちになるほど恋に狂ったことある。相手の全てが良く見えるんだよね。それって付き合ったばかりの頃は当たり前。でもさ、冷静になってよ。詩織、結婚してるんだよ? 優人君に知られたら離婚だよ?」
予想通り、美季は反対意見を口にした。
「何でもそう、遠くのものって綺麗に見えるじゃん……。過去に叶わなかった恋だから変に美化してるだけだよ。どんなに好きな相手でも付き合ううちに嫌な部分が見えてくる。それに、不倫なんて虚しいだけだよ。男も女も現実逃避してるだけなんだから」
「不倫じゃない」
強く、私は言った。美季の意見に流されないように。
「私達はお互いの短所や弱さも知った上で付き合うことに決めたの。セカンドパートナーとして。将来一緒になる約束もしたよ」
「は!? セカンドパートナー? 何それ!」
理解できないといった顔で呆れる美季に、私は説明した。セカンドパートナーのなんたるかを。