セカンドパートナー

「美季……」
「一緒に暮らす以上、不満が出るのは当たり前。それが結婚なんじゃない? いいことも悪いこともひっくるめて夫婦なの。詩織は甘いよ」
「……そうだね」

 何も言えなかった。その通りだ。私は自分に甘い人間。痛感している。

「並河奏詩も無責任だと思う。本気で詩織のことが好きなら優人君から奪えばいいじゃん。なのに、セカンドパートナーって……。並河奏詩は陰で浮気し放題かもよ。詩織はそれでいいの? そんな関係、幸せって言える?」
「それは嫌だけど……。セカンドパートナーだし仕方ないと思う。そこまで並河君を縛る権利、私にはないよ」

 そういうことはまだ掘り下げて話し合ってないけど、並河君が私の知らないところで女性と関係を持っても責められない。結婚している以上、私だってこの先優人に抱かれることは何度もあるだろう。

 並河君と体の関係を持たないのは、キスだけで満足する関係だから。それ以上は求めないのがセカンドパートナーのルールだから。そう思っている。

「正式に入籍してるわけでもない。責任ないから楽だよね、並河奏詩はさ」
「……並河君は悪くないよ。たとえ彼が他の人を抱いたとしても、お互い納得してのセカンドなんだから」
「それもそうだけど、それだけじゃないよ。そういう甘い関係って、お互いに都合がいいじゃん。切ろうと思えばいつでも切れるっていうか。刹那的なことに変わりない」
「……そうかな?」
「男友達なら私にもいるし、そういうのは結婚後も自由だと思うよ。異性の友達に相談するとためになること多いしさ。でも、並河奏詩と詩織はそういうのじゃないよね」
「そういう要素もあるよ」

 並河君はいつでも私を支えてくれる。

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