セカンドパートナー

 羽留は顔をしかめた。

「たしかに私達は子供いないから母親やってる美季ちゃんの気持ち全部は分からないけどさ、母親であることと友達の恋愛事情は別だよ。子供だっていつまでも子供のままじゃないんだしさ……。詩織のこと大事に思ってるからって、子供を理由に突き放す? 私には理解できないな……。美季ちゃん、ストレスたまってそういうこと言ったんじゃない? 本気にすることないよ」

 羽留にも幼い甥と姪がいて、その二人をとても可愛がっている。お兄さんの子供だ。そういうこともあってか、羽留の怒りには実感がこもっていた。

「子供と親は別の人間だよ。ウチのお兄ちゃんとチビ達見ててもそう思う」
「……ありがとね。羽留に聞いてもらって楽になった。私、ホント自分に甘いなって思う。美季が怒るの当然って分かってるんだけど……」
「人間みんな自分に甘いよ、そういうとこ見せないだけでさ。詩織は何も悪くないし、いくら幼なじみだからってそこまで言われる筋合いないよ。むしろ、詩織は今までよく一人で耐えたなって思う。自分の幸せ考えて何が悪いの? って話」

 改めて、羽留の存在の大きさを感じた。

「せっかく付き合えることになったんだから、並河君のことも頼りなよ。そういうの一人で抱えるのしんどいし、並河君も寂しいと思うよ? 私ならいつでも話聞くけどさ、並河君に話すことで癒されることもあるんじゃないかな」
「並河君ならきっと聞いてくれる。でも、まだ、絵、描けないみたいなんだよね……。そんな時に深刻な相談するのも気が引けるよ。マンションにもアトリエ用の部屋はあるけど、そこで画材触ってるとこまだ一度も見たことないし……」
「それはそれで心配だよね……。もうそろそろ休みも終わるんじゃない?」

 年を越し、正月が終わって、もうすぐ2月になってしまう。

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