セカンドパートナー
深刻な顔をする私に、羽留は思い付いたように手のひらを合わせた。
「そうだ! マンションで手料理作ってみたら? 並河君のために」
「それ、いいかも! 並河君、ズサンな食生活してるって言ってたし」
秋月さん情報なのがちょっと悔しいけど。
「だったらなおさらいいんじゃない!? 並河君絶対喜ぶよ〜! ここに来てる人、みんな幸せそうな顔してる」
バイキング。店内を見渡す羽留につられ、私も周囲の人々や店内を見た。
「ホントだね。おいしい物食べてる時って気持ちも和むもんね。料理あんまり好きじゃないけど、がんばってみようかな」
「その意気だよ! 詩織の手料理、並河君絶対喜ぶよ」
羽留が喜んで貸してくれた洋食レシピの本を片手に、並河君の待つマンションへ向かった。途中で必要な食材も買っていった。
今まで並河君と会う時は彼の好意に甘えデリバリーや外食ですませていたので、手料理はまだ一度も振る舞ったことがない。
「すごい! 詩織が作ってくれるの!?」
私が行くなり、並河君はキラキラした目で食材入りのビニール袋を持ってくれた。
「田中さんのマフィン渡した時と同じ顔してるね」
「あの時は詩織からのだと思ってたからな」
並河君は苦笑する。
「マフィンみたいに可愛いものは作れないけど、あの時並河君に食べてほしかったものを作るよ」
「なになに!? ヒントは?」
「秘密!」
「えー、気になる! 手伝うよ」