セカンドパートナー
子供の頃に比べ、恵まれた暮らしだと思う。
昔、我が家は外食なんてほとんどしなかった。
父が神経質な人で、飲食店など他人のいる空間で食事を摂るのでは腹が満たされないと文句を言った。そして、家に帰ると母に追加で手料理を作らせた。外で食べた後に、だ。
外食好きな母と私は、父の文句と追加料理の刑(!)が嫌で、しぶしぶ父に合わせ家で食事をした。しょっちゅう家族と外食に行くと話している友達が、当時はうらやましかった。
一人食事を終え食器を洗っていると、沖本美季(おきもと・みき)からLINEが来た。
《おつかれさま〜》
たった一言。それでも、私達のやり取りはスムーズに続いてきた。
世の中の流行りだった通信手段がポケットベルから白黒画面の携帯電話に移行しはじめた高校1年の頃、美季はまっさきに携帯電話を手に入れ番号を教えてくれた。
昔からメール無精な美季はどちらかというと電話派だけど、何かに目覚めたかのように結婚後はこういう短文メッセージを送ってくるようになった。
《一人飯終了。皿洗い中》
そう返したら、美季とのたわいないやり取りがLINEで続いた。楽しいひととき。