セカンドパートナー

 美季は小学校入学と同時に仲良くなった幼なじみの女性で、私とは真逆の思考を持つ一方、似たところもある。

 彼女は昔からはっきりした性格だったので、感情を隠しがちな私に腹を立てケンカになることもあった。特に中高生の頃はひどかった。絶交の危機なんて何度あったか分からない。

 そういう時期を経て大切に思う、美季は大事な友達だ。私にとって、本音を話せる数少ない相手。

 お互いに大人になり落ち着いたおかげか、昔のように大きなケンカをすることもなく、今は適度な距離感で付き合えている。

 かつては恋愛至上主義で彼氏のためなら私との約束を平気でドタキャンしていた美季だけど(これもケンカの原因になった)、今では二児の母。

 私と同じく結婚10年目になる彼女は、9歳と6歳の男の子を育てている。

 子供を産むと女性は変わる。その言葉を身近で感じたのが美季の例だった。独身時代の奔放さや気まま加減がウソのように面倒見がよくなり、元々あった気の強さを年々増している。

 昔は人の相談など興味なさげに聞き流していた美季も、今では結婚生活のグチに共感し、労ってくれる。そういう部分でも、昔とは違う意味で親しみを感じた。


 美季は授かり婚だった。それを良く思わなかった義母に結婚を反対され、新婚の頃は意地悪なことをたくさん言われたらしい。今ではその義母もだいぶ柔らかい言動になったそうだけど、過去のことを謝られたことはないので、わだかまりは一生消えないと美季は言っていた。

 それでも、旦那さんと仲良くやっている。子供が可愛くて仕方ない。子供から祖父母を取り上げたくないから、我慢して義親と付き合ってる。子供の前で義親の悪口は言わない。そう言き切った美季を尊敬している。本当に強いなと思った。

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