セカンドパートナー

 もしも私が美季と同じ立場になった時、彼女と同じように強くたくましくあれるだろうか。全く自信がない。

 子供ができたらやっぱり変わるんだろうか。

 私にとって未知のものを美季は知っている。それだけは分かるーー。


 会って話した方が早いようなどうでもいい会話を、LINEで延々続けていた。

 そんな中、私は美季に質問してみた。

《昔とっても好きだった人のこと、今はどう思う?》
《思い出すことないよー。縁がなかったから別れたんだろうし》

 即答だった。迷いを感じない文面。

 美季の返答に、私は少なからず動揺した。

 なぜなら、彼女は今までの恋愛全てに全力投球するタイプで、付き合った彼氏を心から本気で好きになり、別れが訪れると病むほど落ち込んでいたからだ。

 それが高じて、こっそり相手男性のケータイを操作し、その人に届いたメールを全て自分のケータイに転送させる設定にしていたこともある。それくらい、美季は自分の恋愛相手に怖いほどの関心を持っていた。

 それなのに、縁がなかったの一言で割り切れてしまうものだろうか。結婚して子供がいるとはいえ、冷め過ぎではないだろうか。

 私は、通り過ぎてしまった恋を……並河君とのことを、どうしてもそういう風には割り切れない。
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