セカンドパートナー
並河君への思いは、間違ってない。
美季との電話を終えて、気持ちがだいぶスッキリした。
その日、珍しく早く帰ってきた優人に、いつもより優しくできた。
優人は黙々と夕食を摂り、私の書道教室のことには興味を示すことはなく、話題にも出さなかった。私からも何も言わなかった。
それが夫婦の溝のように思えたけど、深く考えないようにした。
大切な友達がいて、旦那さんも健康で、習い事もできる。並河君とも普通に友人関係を続けていられる。
これ以上何かを望んで悩むなんて、贅沢だと思った。現状維持が一番いいに決まってる。私は充分、恵まれているはずなのだからーー。
翌日になっても、並河君から連絡はなかった。
チラシ配りの仕事中、何度もスマホを見てみたけど、その日は結局、メールは来なかった。
夜、羽留からLINEが来た。書道教室の感想を知りたいとのことだった。そういえば、その件について羽留にはまだ報告していない。
《並河君の彼女が先生やってたよ。これでよかったのか分からないけど、気分転換にもなりそうだし、とりあえず入会してみたよ》
迷いのにじむ返信をした。