セカンドパートナー

《並河君って、美術科の並河君のことだよね? メールのやり取りはずっとしてたって言ってたよね。彼女のことは聞かされてなかったってことかな? 大丈夫? 今、電話していい?》

 羽留からすぐLINEが返ってきたので、私から電話した。

『ごめんね、電話。こっちからするつもりだったのに』
「いいよ。いつも羽留からかけてくれてるし」
『そんなの気にしなくていいのに。でもありがとう。それより、書道の先生、並河君の彼女なの!?』
「そう。教室行ったらなぜか並河君がいてさ。先生を待ってたみたいなんだけど、海外行くとかですぐ帰ってったよ。先生、同い年でめちゃくちゃ綺麗な人でさ……」

 心に引っかかっていたことを、羽留に話した。

「秋月さんっていう女の先生なんだけど、その先生に私と並河君が同級生って知られてさ。隠すことでもないんだけど、知られたくなかった気もする。それに、秋月さん、私と友達になりたいんだって。私は書道だけ習う関係にとどめておきたいんだけど、正直にそんなこと言えるわけないしさ……」
『そうだよね、言えるわけないよ。それに、それ絶対裏あるよ。秋月さん、詩織と並河君の関係に何か思ってそう!』
「やっぱりそうだよね……」

 羽留とは感じ方がよく似ている、と、こういう時とても実感する。私だけが不穏を感じていたわけじゃないことにホッとした。

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