セカンドパートナー
羽留は諭すように言った。
『うわべだけ上手く接しておいて、秋月さんには深入りしない方がいいと思う。にしても、並河君に彼女がいるとはね……』
「だよね……。私もビックリしたよ……」
『そうだよね、詩織が動揺するの無理ないよ……』
私の気持ちに同調したらしく、羽留の声もいつの間にか沈んでいる。
信じられないといった声音で、羽留は言った。
『高校の頃も言ったけど、並河君は詩織のことが好きなんだと思ってたからさ』
「そうかな……。そんなこと、ないと思うけど……」
いつも手放しで同意してしまう羽留の言葉に、この時だけは素直にうなずけなかった。
高校の頃、並河君とは仲良くしていた。だけど、それ以上の関係になる前に、彼は私の前から一度「消えた」のだからーー。
ーー贅沢な悩み(終)ーー