セカンドパートナー

 ニヤリと笑い、羽留は言った。

「並河君が特定の女子にあそこまで親しげに話しかけてるとこ、初めて見たもん!」

 胸が大きく跳ねた。

「それは羽留に対しても同じだったよ。私だけ特別扱いしてる感じはなかったけど……」
「名前呼び捨てにしてるのが怪しい。あたしなんて『友達』だったしね」

 笑いつつ、恋愛アドバイザーみたいな顔つきで羽留は言った。

「あたしね、昔からちょっとした仕草や声の感じでその人の考えてること何となく分かるんだよ。その見方が外れたことはほとんどないっ!」
「それ、一部は外れてるってことじゃ……」
「細かいことはスルーで」

 どちらかともなく笑い合う。

「並河君が詩織のこと好きってウワサも本当だったりして!」
「それはないよ、絶対!」
「なんで? 本人に否定されたとか?」
「だって、私のこと好きになる理由がないし」
「そうかな〜? 詩織可愛いし、なくはないと思うよ」

 思わぬ褒め言葉に顔が熱くなる。面と向かって女の子に褒められたのは初めてだった。

「可愛くないよ! 全然!」
「そう? 詩織のこと初めて見た時、この子モテそうって思ったよ」
「羽留の方が可愛いって。ピアノ弾けるし、気遣い上手だし」
「やっぱりー? ありがとね! あはは!」

 羽留はわざと冗談でそう言った。

 こういう、女子同士で褒めあう光景というのは中学の時からクラス中でよく見られた。端から見ていて苦手だなってずっと思ってたけど、羽留となら不思議と楽しめる。それは、彼女に裏を感じないからかもしれない。

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