セカンドパートナー
その数日後、全校集会があった。
立ちっぱなしで聞かされるどうでもいい話に眠気と退屈さを覚えた。あくびを殺しつつうつむいていると、校長が並河君の名前を口にした。
全神経が過剰反応した。
反射的に校長の方を見ると、ステージには並河君が立っていた。いつの間に…!
「並河君、君は我が校の誇りです。今後もその調子で頑張って下さいね」
「ありがとうございます」
何だろう? 校長先生に褒められ、並河君は表彰状を受け取っている。
すっかり話を聞き流していた私は、周囲のひそひそ声でこの事態の意味を知った。県の絵画コンクールで最優秀賞を受賞した並河君は、学校からも特別に表彰されることになり、今こうしてステージに立っているのだそうだ。
全校生徒の前だというのに緊張などしてなさそうに落ち着いた様子で表彰状を受け取ると、並河君はステージの下にいる生徒達の方に向けてお礼をした。
彼が頭を上げたその時、その視線が私の方を向いていた。
……ううん。そんなわけない。ステージからここまでけっこう距離あるし、たくさんいる生徒の中から見つけられるわけがない……。
並河君が小さく笑ったような気がしたけど、私に対するものとは思えず目をそらした。胸がざわざわした。
ステージを降り並河君が自分のクラスの列に戻っていった頃、隣の列から男子の声が聞こえた。
「アイツの顔見た? 絶対調子に乗ってるって」
「教師に贔屓(ひいき)されてるからっていい気になりやがって、マジ目ざわりだわ」