セカンドパートナー
並河君の悪口…?
自分のことを言われたわけじゃないのに、そう感じてしまうくらいショックだった。痛みで、胸がドクンドクンと激しい音を立てる。
……どうして傷ついてるんだろう。こんなの、中学の頃に受けた嫌がらせに比べたら全然何ともないはずなのに……。
自分の気持ちに、動揺した。
これがもし羽留の悪口だったならモヤモヤするのも分かる。仲良くしている友達のことを悪く言われたら嫌な気持ちになるのは当たり前だから。
並河君なんてお互い知り合い程度にしか思ってないし、連絡先すら知らない相手。気が合うと思う瞬間もあったけど、羽留みたくしょっちゅう会うほど仲良しってわけでもないのに……。
現に、それからも並河君に会えることはほとんどなかった。
それでも、学校に行くと1日に何回か並河君のことを思い出した。彼と交わした会話や、『革命のエチュード』のメロディーを。
美術科は毎月課題があるらしく、それに加え専属の講師について絵を学んでいることから、他学科の生徒と比べるとうんと忙しいらしい。
音楽科の羽留とは放課後時々遊んだりするけど、羽留はそういう日でも寝る前までピアノの練習をしていると言っていた。
普通科の自分はなんて楽なスケジュールなんだろう。つくづく何かを頑張ったことがない。虚しい気持ちになる。
昔ピアノを習うことを反対されてから、何かを追い求めたり欲しがるという感情が欠落した。何でもそこそこ出来ればそれでいい。そう思うようになってた。