セカンドパートナー

 並河君の反応がこわい。ダサいとか、ノリが悪いって思われた……?

 悪い想像ばかりしてしまう。耐えられなくて下を向くと、並河君の人差し指が小さくチョンと私の額を小突いた。

「困らせるつもりじゃなかったんだけどな」
「え……」

 そう言いこっちを覗き込む彼の顔は優しく、間近で見つめられドキッとした。さすがに顔が真っ赤になってしまう。

「大丈夫。ポケベルが全てじゃないし」
「そ、そうだね」

 平静を装ったものの、変な汗が両手ににじんでくる。体は正直ってこういうこと!?

 照れ隠しに、受け取ったケント紙を見つめた。書かれたポケベルの番号。初めて見る並河君の字は、クセがあるけど綺麗に整ってる。

 書道は嫌いだけど、手紙などで字を書くのは好きだった。小学生の頃は美季と交換日記をしていたし、高校生になった今はたまに羽留と手紙のやりとりをしている。

 そのせいか、雑な気持ちで書かれた字と丁寧な心持ちで書かれた字の違いはよく分かる。

 ケント紙に綴られた並河君の字は、隅々まで心を込めて書いたような繊細さがあった。それでいて、どこか芯の強さを感じる。

 どういう気持ちでこれを書いたんだろう……?

 ただの番号。数字の羅列。それなのに、色んな想いが湧いてきて、最後にはどうしようもなく愛おしい気持ちになった。


 学校外での関わりを増やして、もっと並河君のことを知りたい。

 並河君も同じ気持ちでこれを渡してきたんだと思ってもいい?

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