セカンドパートナー
もともと情緒不安定なのに、昨日からはそれが加速しているみたい。感情の波が荒れに荒れている。
昨日の帰り道、並河君に話を聞いてもらって、励ましてもらって、ただただ幸せで、この人とならもっと仲良くなれるかもって、確かに思ったはずなのに……。
自分から距離をあけるようなことをしてしまった。並河君、変に思ったよね。
その日、放課後になってもしんみりした気分を引きずっていた。
こんな気分の時は羽留と一緒に帰りたい。音楽科の校舎へ下校の誘いに行ったら、
「今日は音楽科の子達と約束あって、本屋に楽譜見に行かなきゃいけなくて……。明日もレッスンがあるから一緒に帰れそうにないんだ。せっかく誘ってくれたのにホントごめんね」
「ううん、こっちこそごめんね。レッスン頑張って」
「元気ないね。何かあった?」
「ううん、何も。大丈夫だよ」
忙しい羽留に心配はかけられない。すっかり得意になった作り笑顔で手を振り、昇降口に降りた。
窓ガラスに映る自分の顔を見る。私の表情ってバリエーションに乏しいな。無表情と笑顔だけ……。喜怒哀楽がちっとも表に出てない。
下校時刻を少し過ぎていたので、他の生徒も少ししかいない。昨日は並河君と一緒に歩いた道を、一人で歩く。
一人で歩くのは初めてではないのに、一度並河君と歩いたというだけで、今日の孤独はそれまでのと全然違う感じがした。
羽留や並河君がそばにいないことが、とても寂しい。