パートタイマー勇者、若奥様がゆく
 柔らかな朝日が窓から降り注ぐキッチンで、私は朝食の支度をしていました。

 本日の朝食はフレンチトーストに、りんご、パイナップル、キウイなどのフルーツにヨーグルトソースをかけたサラダ、そして紅茶です。貴臣さん──というのは私の主人ですが──は甘いものが好きなので、一緒にいちごジャムも添えます。

 フレントトーストの乗った白い皿とサラダ、透明な紅茶ポット、そしてジャムの入った小皿を若草色のランチョンマットの上に並べて、ふう、と一息。

 うん、こんなものでしょうか。
 
 でも若干栄養に偏りがあるかもしれません。たんぱく質でしょうかね。血となり肉となる食物が足りない気がします。お肉は昨日使ってしまったので、鮭を焼きましょう。

 私は鼻歌を歌いながら鮭を焼き、フレンチトーストの横に置きました。よし、これで完璧です。

 うふふ、と微笑んで、スリッパを鳴らしながら寝室のある二階へ向かいました。そろそろ高臣さんを起こす時間ですからね。

 その寝室のドアを開けようと手を伸ばしたら、その前にドアが開いて貴臣さんが現れました。

 パジャマ代わりのグレーのスウェットを着た貴臣さんは、寝起きのままのボサボサの頭で、まだ眠そうなトロンとした目で私を見下ろしました。

「あら、珍しい。ひとりで起きましたか」

「ああ……」

「おはようございます。ご飯出来てますよ」

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