パートタイマー勇者、若奥様がゆく
「それはだな! その艶のある真っ黒な長い髪だとか、守ってあげたくなるような色白な肌の色だとか、まんまるで可愛らしい目だとか、ぷっくりしたさくらんぼ色の唇だとか、思わず頭を撫でたくなるようなミニマム身長だとか、その割に大きいおっぱいだとか! 全部、うん、全部可愛い!」

「そうですか。外見だけの評価なのが若干気になりますが、まあいいでしょう。ここは素直に礼を言います。ありがとうございます。でも昨日、前髪を切ったのですけれど、気づいていませんよね?」

「えっ、そ、そうなのかっ?」

「やはり気づいていませんでしたか……。私の外見が好きな割に、あまりよく見ていませんよね」

「そ、そんなことはないんだぞ? 毎日椿姫を見つめるのが趣味なんだぞ、俺は」

「ではちゃんと気づいてください。そういう些細なことを気にする女なのです、私は」

「ああ、そういえばなぁ」

「はい。女々しくてすみません」

「いや、誰よりも男らしいと思うけどな」

 貴臣さんは少しだけ悪戯っぽく笑いながら、こちらへ身を乗り出してきました。そうして私の顔をじっと覗き込み、頷きます。

「うん、確かに。眉毛がちゃんと見えてる。昨日までは隠れてたのにな。気づかなくてごめん」

「若々しくなりましたか?」

「ははっ、まだ若いだろ? でも、そうだな。更に可愛くなった」

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