片恋。
もう、ばか…好き。


私はこみあげてくる愛しさを押し殺して、勢いよく踵を返して自分の席へ着いた。


「ねーはなぁ、今日提出のプリントやってる?」



後ろから、柚菜が背中をつつく。


振り返ると、柚菜の隣には神崎 笑真(かんざきえま)がちゃっかり座っていた。


「やってるよー。見る?」


「「見せて!見せてくれ!」」



二人の声が重なった。


「つうかさ、心ちゃん、ぜってー昔より可愛くなってるよな」


笑真の言葉に、ぴくっと柚菜の眉が動いた。


私はそれを横目に流しながら話を続ける。


「なんでそう言い切れるの?」


「や、だって高校生だぜ?心ちゃんに会いてーなぁ」


笑真は手を重ねて目をつぶる。


「きもいよ、えま」


柚菜の言葉に、私も静かにうなずく。


私もちょっときもいって思ったよ…ごめん、笑真。


柚菜の声が、めっちゃ無機質…。


地味に切れてるよ、柚菜。


ご愁傷様、えま。



そう心の中で唱えて、柚菜を見守った。


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