片恋。

「っぶねぇ…!」





「あはは 優、まだ彼女と電話してたん?」



優ってば、私のさっきの言葉を聞き入れてくれたのかな。



いつの間にか廊下に行ってたんだ。

「う うっせー!」



恥ずかしそうに笑真に言い返す優。



「何がうるさいのかね?」



「はっ…!七福おじさん!」



「誰が七福おじさんじゃ!橘!」


なんで『七福おじさん』なのかというと…。


髪の毛が真っ白でもじゃもじゃしてて、幸せそうな(笑)体型をしているから。


こう…お腹がぽよんてしてて、横に膨らんでて…


とまあ、これぐらいにしとこう。


あとは怒られちゃうからね。



「すっ すみませんでした…っ!」



「はやく席に座りなさい‼︎‼︎」



「はい…」


優は恥ずかしさに顔を赤らめながら自分の席に座った。


「くすっ…橘くんてば、本人の前で言ったらだめじゃ〜ん」



優の隣の席に座っている
楠(くすのき) りおなちゃんが笑顔で話しかける。



「だな…」



優はほとんど笑わずに、微かに唇の端を吊り上げて答える。



「ねぇねぇ橘くん!」



「…何?」



「今度ね、皆でカラオケ行くんだけど橘くんも行こうよ!」



優は面倒くさそうに首を振る。



「いいよ。俺そういうの好きじゃない」



「そっかあ…りおなは橘くんと一緒に歌いたかったな〜…」



「…ごめん」



また優ってばあんな言い方して…。



なんで優って女の子に冷たいんだろ…。


そりゃ心ちゃんがいるからっていうのもあるかもだけど。


りおなちゃんとか女子の中心的存在の子なんだよね。


それなりに可愛いし。


色んな人に分け隔てなく話しかけたりしてるとことかあるし、いい子なんじゃない?



ちょっとくらい、笑顔見せてあげなよ〜


なーんて、私は思ってるんだけど。


やっぱ、優は女子があんまり好きじゃないみたい。
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