片恋。
きっと、私は何にもなっていなかった。
私にできることは、何もない。
何もなかったんだ…。
2人の会話を盗み聴きするのは悪いから、私はそっと道路を挟んでひとつ向こう側の公園のベンチへ向かった。
大してのどは渇いてないのに、自販機でミルクティーを買う。
がこん、と転げ落ちてきたミルクティーを拾って、しばらくそれを見つめる。
ミルクティー…。
心ちゃんの、髪の色。
優しい色をした、心ちゃんのミルクティーの髪。
そして、飲めもしない缶コーヒーを選んで、またボタンを押す。
缶コーヒーは、優をイメージして選んでみた。
私、飲めないんだけど…あとで、パパにあげよっかな。
出てきた缶コーヒーを手にとって、ふたつをくっつけてみる。
心ちゃんと、優。
一度離れてしまった2人をもう一度…。
そう願いを込めて、目をつぶった。